フルハーネス型使用上の注意事項

フルハーネス型墜落制止用器具使用上の注意事項

特別教育を受講してください

高さが2m以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、フルハーネス型墜落制止用器具を用いて行う作業(安衛則第518条第2項が適用される作業)に係る業務に従事する作業者は、労働安全衛生規則の改正によって、特別教育の受講が義務付けられています。
●原則として、特別教育は事業主が作業者に対して実施するものですが、建設業労働災害防止協会(建災防)などの外部機関でも実施しています。

6.75mを超える箇所では、フルハーネス型の使用が義務付けられています

高所作業における、墜落による危険を防止するために使用する墜落制止用器具は、フルハーネス型が原則です。ただし、高さ6.75m以下で、墜落時に作業者が地面に到達するおそれのある場合は、胴ベルト型の墜落制止用器具を使用することができます。
●一般的な建設作業の場合は5mを超える箇所、柱上作業などの場合は2m以上の箇所では、フルハーネス型の使用が推奨されています。

作業床の高さとショックアブソーバに表示の落下距離をご確認ください

必ず、ショックアブソーバに表示されている落下距離をご確認のうえ、ご使用ください。
フックの取付位置を高くするなど、落下距離を短くする措置をとってください。

●ランヤードのショックアブソーバに、標準的な使用条件における落下距離が表示されています。ご使用前にご確認いただき、表示の落下距離を考慮してご使用ください。

●アンカーに水平親綱などを利用する場合は、水平親綱のたわ(撓)み量を加算して十分な落下距離を考慮してください。

ショックアブソーバに表示されている落下距離をご確認のうえ、ご使用ください。

フルハーネスおよびランヤードの使用可能質量をご確認ください

フルハーネスおよび、ランヤードのショックアブソーバに表示されている使用可能質量以下でご使用ください。
●使用可能質量は、着用者の体重と装備品の全ての質量を合計した最大値です。

ランヤードの種類をご確認ください

フルハーネスに接続するランヤードは、種類「フルハーネス型」と表示されているものをご使用ください。

ショックアブソーバの種別をご確認ください

腰より高い位置にフックを掛ける場合は、第一種ショックアブソーバ付きのタイプ1ランヤード、足元にフックを掛ける場合は、第二種ショックアブソーバ付きのタイプ2ランヤードをご使用ください。
●腰より高い位置にも足元にも、混在してフックを掛ける場合は、タイプ2ランヤードをご使用ください。

※足元にフックを掛けた場合、墜落阻止時の落下距離が長くなります。
 またフック部に曲げ荷重や外れ止装置に外力が加わらないよう、作業環境を十分考慮した上でご使用ください。

表示されている最大自由落下距離以下でご使用ください

低い位置にフックを掛けて使用されますと、ショックアブソーバに表示されている最大自由落下距離を超え、ショックアブソーバの性能を超えますので、身体に損傷を及ぼすおそれがあります。
表示されている最大自由落下距離以下でご使用ください

2丁掛けにする場合は2本共墜落制止用のランヤードをご使用ください

移動時におけるフックなどの掛け替え時の墜落を防止するために、2つのフックなどを相互に使用する2丁掛けをお奨めします。なお、フルハーネス型に使用する2本のランヤードは、いずれも墜落制止用器具としての要件を満たすものをご使用ください。

2丁掛けにする場合は2本共墜落制止用のランヤードをご使用ください

ショックアブソーバ2個付きの二丁掛け仕様ではフック2個の同時掛けをしないでください

2本のランヤードそれぞれにショックアブソーバが付いた二丁掛け仕様の場合、フック2個の同時掛け状態で落下すると、ショックアブソーバ1個付きの二丁掛けランヤードに比べ2倍近い衝撃荷重が加わる可能性があり、身体に損傷を及ぼす場合があります。
●水平移動時などに、フック2個同時掛けでご使用になる場合、ショックアブソーバは1個付きの二丁掛けランヤードをお使いください。

ショックアブソーバが2個
ショックアブソーバが2個

同一メーカーの製品を組み合わせてください

異なるメーカーや型式のものを組み合わせて使用すると、十分な強度や機能が得られない場合があります。従って、同一メーカーの製品の組み合わせを推奨します。

身体に合せてベルト長さを調節してください

ベルトを緩く締めていると、フルハーネスから身体が抜けて墜落制止できない場合や、作業時に、緩んだベルトが突起物などに引っ掛かり転倒する場合があります。また、墜落制止時の落下距離が長くなり、地面や下方の障害物に衝突する場合があります。
●墜落制止時にフルハーネスがずれ上がらないように、また、安全な姿勢が保持できるように、緩みなく確実に装着して下さい。

緩みなく確実に装着して下さい

腿ベルト・胸ベルトのバックル、胸バンドの連結金具は正しく連結してご使用ください

腿ベルトおよび胸ベルトのバックル、胸バンドの連結金具を外した状態では、墜落制止できないおそれがあります。また、墜落制止時に姿勢が崩れ、身体に損傷を及ぼすおそれがあります。

正しく連結してご使用ください

一度でも大きな荷重が加わったものは使用せず廃棄してください

外見上の変形がなくても、一度でも大きな荷重が加わったものは、再び落下すると衝撃荷重が大きくなり、身体に損傷を及ぼすばかりか、墜落制止できないおそれがあります。
●一度でも大きな荷重が加わったものは、ランヤードを含むフルハーネス型全体を廃棄してください。

ランヤードは堅固な構造物に取り付けてください

ランヤードは構造物からフックが抜けたり、破損したりするおそれがなく、墜落制止時の衝撃荷重に十分耐える堅固なものを選んで取り付けてください。

ランヤードは堅固な構造物に取り付けてください

ランヤードは堅固な構造物に取り付けてください

ランヤードは堅固な構造物に取り付けてください

●電灯線等弱い構造物に取り付けると、墜落制止時の衝撃荷重で構造物が破損し、墜落する危険性があります。
●端部が開放されている構造物は、フックが横から抜け落ちる危険性があります。

フックが滑り落ちるような箇所に取り付けないでください

支柱に滑り止めとなる横棒のない枠組み足場の手すりや、斜めの構造物など、フックが取付位置から滑る箇所には取り付けないでください。墜落制止時に滑り落ちたフックが破損するおそれがあります。また、フックが滑り落ちることによって落下距離が長くなり、地面などに衝突するおそれがあります。

フックが滑り落ちるような箇所に取り付けないでください

屈曲としごきが加わる使用はしないでください

特に、さつま編込部やさつま編込部際に過度の屈曲としごきが繰り返されると、さつま編込部に型崩れや緩みが生じ抜ける場合があります。また、縫製部・縫製部際も縫製部保護チューブなどが破損し、縫製部の強度低下につながります。

屈曲としごきが加わる使用はしないでください

フックは出来るだけ高い位置に取り付けてください

フックは腰より上の出来るだけ高い位置に取り付けてください。
フックの取付位置が低いと、墜落制止時に落下距離が長くなり、衝撃荷重が大きくなって身体に損傷を及ぼすおそれがあります。

●足元に取り付ける場合は、タイプ2ランヤードをお使いください。

タイプ1ランヤード使用の場合
タイプ1ランヤード使用の場合

ランヤードは鋭い角に触れないようにしてください

ランヤードは鋭い角に触れる危険性のある場所を避けてご使用ください。ランヤードが墜落制止時に鋭い角に触れると切断するおそれがあります。

●やむを得ない場合は、構造物に丈夫な布などの保護材を巻いてご使用ください。

ランヤードは鋭い角に触れないようにしてください

ランヤードは振り子状態にならない位置に取り付けてください

ランヤードは墜落時に振り子状に動いて障害物に衝突するような場所を避けてご使用ください。

ランヤードは振り子状態にならない位置に取り付けてください

フックは構造物に正しく掛けてください

フックは墜落制止時に折れ曲がったり、外れ止め装置および安全装置に荷重が加わらないようにご使用ください。(フックの形状と掛け方は一例を示す)

直接掛け 回し掛け 穴掛け
正しい掛け方

直接掛けの正しい掛け方

回し掛けの正しい掛け方

穴掛けの正しい掛け方

誤った掛け方

直接掛けの誤った掛け方

回し掛けの誤った掛け方

穴掛けの誤った掛け方

注意事項

・誤った掛け方をすると、外れ止め装置や安全装置がねじられたり部材で押されたりしてフックが取付部から外れたり、フック本体が変形して墜落するおそれがあります。
・フックが正しく掛っているか(外れ止め装置の閉じ・安全装置が構造物との接触で押されていないか等)目視で確認してください。

・フックの主軸の方向と、墜落制止時にかかる力の方向が一致するように取り付けてご使用ください。

垂直・水平親綱の1スパンを利用する作業者は1名としてください

墜落制止時に友引き状態になり、他の作業者も同時に落下するおそれがあります。

垂直・水平親綱の1スパンを利用する作業者は1名としてください

フルハーネス型に体重を預けないでください

体重を預けるとフルハーネスおよびランヤードが損傷して強度不足になったり、バランスをくずして落下する場合があります。
●体重を預ける作業には、別売りのワークポジショニング用器具を併用してください。

フルハーネス型に体重を預けないでください

フックハンガーをD環の代わりに使用しないでください

フックハンガー(またはランヤードホルダー)はフックをつり下げるためのものです。フックハンガー(またはランヤードホルダー)をD環の代わりに使用した場合、墜落制止時にフックハンガーが外れたり、壊れて重大事故になる危険性があります。

フックハンガーをD環の代わりに使用しないでください

ランヤードが首の前にある状態や、わき(腋)・また(股)に挟込んだままで作業しないでください

ランヤードが首の前にある状態で作業中に墜落した場合、墜落制止時にランヤードが首に掛かって重大事故になるおそれがあります。また、わき(腋)・また(股)に挟込んだままの状態で作業中に墜落した場合は、ランヤードが手足を挟み込んで身体に損傷を及ぼすおそれがあります。
●墜落制止時にランヤードが首、わき(腋)、また(股)などに絡まないようにしてください。

ランヤードが首の前にある状態で作業しないでください

背部D環を使用中の場合
背部D環を使用中の場合

胸部D環を使用中の場合
胸部D環を使用中の場合

休止フックは作業中フックハンガー以外に掛けないでください (ツインランヤード式の場合※)

休止フック(構造物に掛けていないランヤードのフック)を、胸部D環などに掛けた状態で墜落制止した場合、ランヤードのショックアブソーバの作動を妨げるおそれがあります。また、胸バンドに休止フックを掛けた状態で墜落制止した際、胸バンドの連結金具が壊れて、フルハーネスが肩から脱げてしまうおそれがあります。
●作業中は、休止フックを必ずフックハンガー(またはランヤードホルダー)に掛けてください。

フックハンガーに掛けた状態
フックハンガーに掛けた状態

胸部D環に掛けた状態
胸部D環に掛けた状態

※この警告文におけるツインランヤード式とは、ランヤード2本に対しショックアブソーバが1つの構造のものに限る。

酸(バッテリー液など)・アルカリを付着させないでください

ベルトなどの合成繊維部品は、酸・アルカリで溶解してベルトなどの強度が低下し、十分な強度が得られず、墜落制止できないおそれがあります。
●塗料などの汚れを取る場合には、強度低下をまねく溶剤は使用しないでください。

高温部に近づけないでください

ベルトなどの合成繊維部品は、熱によって溶融して強度が低下し、十分な強度が得られず、 墜落制止できないおそれがあります。

高温部に近づけないでください

分解・改造しないでください

分解や部品の取り外し、他の部品の組み込みなどの改造をすることは墜落制止用器具としての性能を十分に発揮できないばかりか、重大事故になるおそれがありますので、絶対におやめください。
また、分解・改造された製品の性能は保証できません。

●ショックアブソーバはカバーを外したり、カバーの上からテープを巻き付けないでください。また、ランヤードから絶対に外さないでください。

分解・改造しないでください

人体側フックをフルハーネスのD環に取り付けてご使用ください

ショックアブソーバに接続されているフックが人体側フックです。
人体側フックで構造物に回し掛けするなど、接続方法を誤ると、墜落制止時にショックアブソーバの作動が妨げられるおそれがあります。

また、ツインランヤードの場合、構造物側フックをD環に掛けて使用すると、落下距離が長くなったり、墜落制止時にショックアブソーバが全く機能せず衝撃荷重が大きくなって、身体に損傷を及ぼすおそれがあります。

人体側フックをフルハーネスのD環に取り付けてご使用ください

墜落制止用ですので他の用途には使用しないでください

スリングベルトなどの資材をつり上げる用具に代用するなど、他の用途で使用しないでください。

墜落制止用ですので他の用途には使用しないでください

屋外に放置しないでください

ベルトなどの合成繊維部品は、紫外線によって強度が低下します。

耐用期間をご確認ください

使用頻度、使用環境や保管方法によって異なりますが、使用開始年月からランヤードは2年、ハーネスなどランヤード以外のものについては3年をめやすとして新品と取り替えてください。。

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